劇場版第3作ですね。公開日は1999年4月17日
あらすじ
鈴木財閥の蔵からロマノフ王朝の秘宝”インペリアル・イースター・エッグ”が見つかったため大阪で展示をすることになり、怪盗キッドからエッグを盗み出すという、暗号による犯行予告状が届いた。警察は暗号を読解し、8/22から23日にかけての夜、大阪城からキッドが現れると予測。コナン一行や服部平次、遠山和葉等が鈴木財閥の会長のもとを訪れると、ロシア大使館のセルゲイ・オフチンニコフ、美術商の乾将一、ロマノフ王朝研究家の浦思青蘭、映像作家の寒川竜らがおり、彼らは皆エッグを狙っていた。コナンと平次はキッドの犯行予告時間が実は午後7時20分で、犯行場所が通天閣であることになってから気づく。中森警部は偽物のエッグを展示室に移し、一部の人間だけで本物のエッグをビルの一室で監視、警備していたがキッドは鳩に取り付けたカメラから本物のエッグの所在を知り、エッグを盗み出した。キッドを追跡する途中で平次はバイクで転倒。コナンだけで追跡を続けるが、コナンは負傷した鳩とエッグ、破損したキッドのモノクルを発見する。撃たれて海に落ちたものと思われたが・・・
雑感
今作は少し実際の歴史に関わる話がでてきますね。あらすじにでてくる”インペリアル・イースター・エッグ”は実際に存在しますし、ロマノフ王朝も実在した王朝です。おそらく、実在する歴史上の出来事や人物をストーリーに関連させている作品はこの作品が初だったはずです。
ただ、もちろんこういった歴史を知らなくても全然大丈夫なように作られていますのでご安心を。
管理人の雑感としては「人気キャラの扱いがまだ雑だな」という印象です。今ではすっかり人気の怪盗キッドや服部平次ですが、怪盗キッドはメインで出てはくるものの中盤以降は出てこない場面も多々ありますし、服部平次に至っては、キッド追跡中にバイクで負傷してからは出てきません。あくまでストーリー構成上の盛りたて役なのです。ちょっと今では考えられないですよね。でもこの人気キャラが絶妙にストーリーに融合しているのが今の作品にはない味わい深い所な気がします。
ではまたストーリーに沿って管理人コメントしていきたいと思います。
もう1つのイースターエッグの存在
エッグはキッドから取り戻すことができたが、破損がないか調べるため、展示を中止して鈴木財閥の船で東京に持ち帰る事になった。船にはコナンや、セルゲイや乾たちの他、パティシエの香坂夏美が同乗していた。彼女はイースターエッグ制作者の工房で働いていた香坂喜市という男の曾孫であり、喜市が描いたと思われる図面がメモリーズエッグの写真と違うことから、鈴木財閥を訪れていたのだった。その図面には2つのエッグが描かれており、鈴木財閥が所有していたエッグには魔境が仕込まれていた。この鏡にはドイツ風の城が映し出されていて、これは喜市が横須賀に建てた城であった。小五郎はこの城に2つ目のエッグが隠されていると推理し、コナンたちは横須賀の城へ同行することに決まる。だがその折映像作家の寒川が右目を撃たれて死んでいるのが発見される。彼の部屋は荒らされており、ニコライ2二世の娘、マリアの指輪や、撮影していたビデオテープが無くなっていた。コナンは阿笠博士に調べてもらっていた情報から、犯人がロマノフ王朝の遺産を専門に狙い、常に右目を撃つ強盗スコーピオンが犯人であると指摘する。寒川はスコーピオンの招待を示すなにかを撮影してしまったが故に殺害されてしまったのではないかとコナンは推理する。
管理人コメント
前半の話を追っていても前2作とはテイストが違いますよね。やはり実在する歴史を絡めているのでニコライ2世の娘マリアだったり、建築物だと横須賀のお城なんていうのが出てきましたね。ニコライ2世の娘マリアは実在する人物ですが、横須賀にはお城はありません。少し小ネタになりますが、横須賀のお城はノイシュバンシュタイン城というドイツのお城がモデルなのではないかとされています。ロマノフ王朝ってロシアの王朝なのになんでドイツ風の城がでてくるのか?という疑問にはこの後お答えしていきたいと思います。では次。
↓ノイシュバンシュタイン城
2つのエッグとスコーピオンの正体
捜査のため船へやってきた白鳥刑事も合流し、城へやってきたコナンたちは地下室への入口を見つけ、ロシア語で「世紀末の魔術師」のパスワードを入力して中へ進む。これは喜市がかつて呼ばれていた異名で、キッドも予告状にこの名を使用していた。地下へすすんで行くと銅で作られた西洋風の棺があった。中身はもう1つのエッグと遺骨であり、これは夏美の曾祖母にあたる、喜市のロシア人の妻だと思われた。もう1つのエッグは空であり、鈴木財閥が所有しているエッグを入れることができるようになっていた。白鳥が鈴木会長から借りてきたエッグを入れて、下から光を当てると周囲にニコライ皇帝一家の写真が浮かび上がり、その中には夏美の曾祖母と曽祖父の喜市が一緒に写っている写真があり、曾祖母は夏美やニコライ2世の娘マリアによく似ていた。セルゲイは2つのエッグは夏美が持つのにふさわしいとして所有権の放棄を宣言し、小五郎も夏美にエッグを譲るように鈴木会長に口添えすることを約束士たところで小五郎がスコーピオンに狙われ、スコーピオンはエッグを奪って逃げてしまう。コナンはスコーピオンを追跡する途中で射殺された乾を見つけるも、そのまま追跡を続行する。スコーピオンが城に放火したところでコナンは殺された寒川や乾の声、小五郎や白鳥刑事の声を使ってスコーピオンを翻弄する。スコーピオンの正体はロマノフ王朝研究家の浦思青蘭であった。彼女は本当はロシア人であり、浦思青蘭の中国語読み、「プース・チンラン」を並び替えると「ラスプーチン」になり、彼女はその末裔だった。青蘭はかつて皇帝一家と関係の深かったラスプーチンこそが財宝を受け継ぐにふさわしいと考えていた。寒川を殺害した理由は飾っていたラスプーチンの写真を撮られたと思ったため、小五郎を襲ったのはラスプーチンを「世紀の大悪党」と言ったためだった。コナンは青蘭の銃に残った弾を自分の右目に撃つように挑発し、右目を撃った弾はコナンの強化ガラス仕様に変えてあったメガネに弾かれる。青蘭は再度弾を装填し撃とうとするも、キッドの銃に妨害され、コナンのキック力増強シューズではなった甲冑の頭が当たり、気絶する。
管理人コメント
ここはコメンントしたいことは沢山あるのですが、まず1つ目。
地下室の入口のパスワードですね。
ロシア語で「волшебник конца века」→「ヴァルシェーブニックカンツァーベカ」
英語だと「The Last Wizard Of The Century」
日本語で「世紀末の魔術師」というこのくだり。管理人はすごい頭に残っていますねー。夏美が幼少期から聞かされていた「バルシェ、ニクカッタベカ」という謎の言葉の正体が「ヴァルシェーブニックカンツァーベカ」でしたというだけなんですが、妙に管理人の頭に残っています。←何回も観てるからかな
2つ目はエッグから出てきたニコライ皇帝一家の写真のくだりです。曾祖母が夏美とニコライ2世の娘のマリアによく似ているという話が出てきていましたが、ここにコナン制作サイドのオリジナルの歴史解釈が関わってきます。ロマノフ朝が滅亡したとき、ニコライ2世の娘のマリアだけは生き残り、日本に逃亡、そこで夏美の曽祖父喜市と結ばれたという解釈です。要は夏美の曾祖母はマリアだったということですね。1つ前のコメントでもなぜ、ロシア人の曾祖母=マリアなのにドイツ風の城を横須賀に建てたのかという話を少ししましたが、これはマリアの母親がドイツ人だったからです。たたでさえ、日本に亡命してきて不安なマリアのために喜市があえてドイツ風の城にしたということですね。ここからはまた小ネタになりますが、1999年の映画公開当時はまだマリアの遺体だけ見つかっておらず、実はどこかで生き延びていたのではないかと噂されていました。おそらくこの話をもとにオリジナルの歴史解釈を加えたのではないかと思われます。ただ2007年にロシアで正式にマリアの遺体が確認されたことでこの説は覆ってしまいました。ただこの解釈は管理人個人的には好きです。
最後に3つ目。
犯人青蘭さんでしたね。しかも「ラスプーチン」の末裔。興味があったらラスプーチンの実際の写真を映画の写真と見比べて観てください。ほぼ一緒だから 笑 あとは青蘭さんが使っていた銃ですかね。「ワルサーPPK/S」 銃には詳しくないですが、「007」のジェームズ・ボンドの愛用銃として有名です。確かドイツ製だったと記憶しています。この「ワルサーPPK/S」は何度かコナンに登場しているので頭に入れておいて損はないと思います。
では次でラストですね、レッツゴー(棒読み)
事件解決
事件解決後、探偵事務所に戻ったコナンは蘭に本当はコナン=新一なのではないかと言われ、隠し通すことに限界を感じ、蘭に正体を明かそうとする。しかし、そこに新一に変装したキッドが現れる。実は船から同行していた白鳥刑事はキッドの変装であり、エッグを本来の持ち主である夏美に返そうと動いていたのだった。コナンはキッドに夏美の曾祖母とはマリアであり、彼女の遺体が見つかっていないのは日本に逃れていたためで、城がドイツ風だったのはマリアの母がドイツ人だったからという推理を語るが、キッドはコナンに「世の中には謎のままにしておいたほうがいいこともある」と語り、それにはコナンも同意する。キッドはコナンたちが保護していた鳩とともに去る際に、「なぜ自分が工藤新一の姿で現れ、厄介な敵であるコナンを助けたのか」という、謎かけをするが、コナンは「そんなの謎でもなんでもない、コイツ(鳩)を手当てしてくれたお礼だろう」と心の中でキッドに答える。
その後なぜ引き止めてくれなかったのかとコナンは蘭に注意されるが、また来ると嘘をつき、直後に蘭は新一に渡す予定だったタオルを三枚おろしにする。それをみてコナンは当分元には戻れないなと苦笑いし、幕を閉じる。
管理人コメント
最後はここはおーいコナン君それは君の不手際だろうよと思うシーンでしたね、管理人的に。まあ別にこの場面だけで蘭がコナン=新一だと思ったわけではないでしょうが、序盤で皆で誕生日を言い合うシーンがあるのです。そこでうっかり言っちゃうんですね、コナン君。自分の誕生日=新一の誕生日を。新一がいなくなった後、急に現れた子供が新一と同じ誕生日なんてことありますか?しかもやたら大人びてるし 笑 そこで新一の格好で現れたキッド、ナイスフォロー 笑 って思っちゃいましたね。キッド=白鳥刑事だったのは青蘭さんとの対決のときにでてきたトランプの銃でわかったかと思います。一応ずっといましたよ?ってことですね。
以上、管理人コメントでした。
まとめ
3作目は屈指の名作だと管理人的には思います。管理人は歴史が大好き(特に世界史)なので、こういったオリジナルの解釈とかをやってくれるとすぐファンになっちゃいます。もっとこういう作品増やしてくれないかなーと思う所ではあります。←情勢的に厳しいのかな。
ちなみに管理人はこの作品からB`zデビューです。 「ONE」いい曲なのでよかったら聞いてみて下さい!
感想書いてたら、また観たくなっちゃったので観直そうと思います!!
では、また!
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